嘘の誓いとLOVE RING
社長室は、エレベーターから見ると一番奥にある。
そのドアをノックすると、優しい女性の声で、「はい」と聞こえドアが開かれた。
「あら?」
出てきたその人こそ、佐倉さんに違いない。
スレンダーな美人。
私よりは背が高く、160センチ以上はありそうだ。
目鼻立ちはスッと涼しげな和風美人で、柔らかな印象だった。
「美亜さん。どうされたんですか?」
私の事は知っている様で、驚きつつも落ち着いた優しい口調で問いかけてきた。
すると、佐倉さんの後ろから、「美亜!?」と凌祐の声がしたのだった。
その声に気付いた佐倉さんは、「どうぞ中へ」と招き入れてくれた。
社長室も、秘書室が先にある造りになっている。
そこに凌祐がいたって事は、二人で何かを話していたという事なのだろう。
仕事なのだから、それは当然と分かっているけれど、どこか嫌な気分だ。
「お邪魔します…」
怖ず怖ずと入ってきた私に、凌祐は驚いた様子で駆け寄って来た。
「どうしたんだ美亜?何か、困った事でもあったのか?」