なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

 酔いも回ってきたところで、疑問を問いただしてみることにした。

「萩原さんて」

「...なに?」

「名前何て言うんですか」

「そこ? お前もしかして俺の名前、忘れた?」

「聞いてないだけです」

「...あー...そういうかんじか」

「仕事はなんなんですか? 私の仕事と関係あるって、どういうこと?」

「え? 名前のくだりはもう終わったの?」

「最初、社長かなぁなんて思って、店長に聞いたんです。そしたら社長の名前とぜんぜん違うし」

「だろうな」

「だからまた振り出しに戻って」

「そうか」

「彼氏なんだからそういうのちゃんと教えてくれないと不安じゃないですかっ」

「やっとそう思ってくれた?」

「だから、えーと、私のことは知ってそうなので、萩原さんのことを教えてください」

「分かった」

「で、結婚してるんですか? 片桐さんがそんなこと言ってましたよね」

「お前、話飛びすぎてんの分かってる? もう酒ダメ」


 手酌で飲んでた私の手からボトルを取り上げて、遠くの方へ置く。

「というわけなので」

「次はなんだ?」

 もう、笑うのを隠さずに肩を揺らしている萩原さんに、眠いから寝ます! という一言を言い残し、私はベッドルームへ消えたらしい。


 結局何1つ秘密を暴けず、ただ単に私のこの果てしないアホさ加減を、誰も披露しろとは言ってないのに、惜しげもなく披露しただけに終わった。



 ミッション2はまだクリアしてない。

 秘密を暴くというもうひとつのミッション...

 やり直し。




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