なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】

「もういいでしょ。これで分かった? 夏菜は俺がしっかり面倒みるし、あんたはあんたでいろいろあんだろうから、そっちのフィールドでよろしくやってろよ」


 萩原さんは私の名前を呼んで、テーブルの上に置いてる私の手に手を伸ばしたけれど、真が素早くそれを阻止し、私の肩を抱いて『行くか』と体の向きを変えた。



「夏菜待って。本当のことをお前の口から聞きたい」

「......」

「俺はお前と別れる気は無いよ。気にしなくていいってずっと言ってる」


 言わなきゃ。


「...私は......真がいいんです。なんか、その方が落ち着くし。ちゃんと話し合って誤解も解けたし。だから野々宮さんがどうとかそんなの...全然関係ないんです」



 頑張れ私。

 泣くのはこの後たくさんできる。


「だから...」


 くるりと体を萩原さんの方へ向けて、視線をがっちり合わせた。


 怖い。本気で怒ってる。

 これで最後にする。





「萩原さんとこと、嫌いになったんですよ」



 真ん丸い目。唖然としてる。



「嫌いなの。自分のことをなーんにも言わない人になんて、もう疲れたんです。ただそれだけ」



 萩原さん、固まってた。

 びっくりしてた。


 本当にごめんなさい。


 私のことを傷つけないように優しくしてくれてたあなたのことを、私は傷つけてる。

 最後まで自分勝手でごめんなさい。


 帰りがけに真に言われたことは、『ごめん』ということばと、俺がお前をそんな風にしちゃったならなんでもする。ということ。

 だから、それならあかりちゃんには同じ思いをさせないでとしっかり約束してもらった。






【愛すること】

ミッションコンプリートならず。

だって、真逆のことをしてしまったから......

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