溺愛協奏曲
蔑みと恐怖が入り混じった視線




ガキの頃から嫌ってほど浴びせられるその視線




そんなもの俺にとってはどうってことないが莉子にとっては辛いだろう




「大丈夫だ・・・」



「うん・・」



にっこり微笑む莉子の手を握りしめ心の中でそっと呟いた




俺が守ってみせる




この手を絶対離さない




心の中でそっと誓った




莉子と数人の組員たちと産婦人科の外来を抜け姐さんの病室へと向かう




義理の母でもある由美子さんは戸籍上は俺の母親になるが




正直、母と言うより姉というほうがしっくりくるような人だ




親父の数々の再婚相手のなかでは一番まともで常識ある人




だから信頼しているし安心して親父を任せていられる




だから、頼みとやらを聞いて驚いた




出産に立ち会う・・・・だと?




さすがに帝王切開は手術なので中までは入れないらしいが




姐さんと親父に懇願され莉子と一緒に立ち会うことが決まった



「・・・お兄ちゃん」



莉子にそう呼ばれ今さらながら気付く



ああ、生まれてくるガキは俺の妹か弟になるのか・・・



親父には今頃気付いたのかと笑われたが・・・




なんだか不思議な感じがした



俺に妹か弟ができるなんて・・・




































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