溺愛協奏曲
打ち上げ花火をやるのは町外れにある大きな河川敷



車を走らせさっそく到着したあたし達を待っていたのは沢山の人、人、人




車を降りると何故かあたし達に・・・というより蓮たちに女の子の視線が集中



別の車で来たのか護衛の組員さんたちを従え歩く姿はまるで王様のよう・・・



車から降りると運転手さん、涼くんや拓巳くんたちがトランクから車いすを出す



玲奈ちゃんは申し訳なさそうに見つめている



「ごめんね、迷惑かけちゃって・・・・」



「いいんだよ、玲奈ちゃんこの人混みで松葉杖は無理だよ

いいから俺達に甘えちゃって」



涼くんが笑顔を浮かべながら玲奈ちゃんを姫抱っこして車いすに乗せた



「じゃあ行くか・・・河川敷の小高い丘みてえになってるとこが


俺たちの特等席だ、組のもんが立ってるはずだからちょっと急ぐぞ



もうすぐ始まるらしい」



蓮の言葉に黙って頷くと人の間を縫うように歩いた



後ろからは涼くんが車いすを押して拓巳くんと三人で付いてくる



蓮はあたしの手を何も言わずぎゅっと握りしめてきた



今日は下駄を履いてるので歩調を合わせて歩いてくれている




そんな気遣いが嬉しくて蓮の横顔をただ見つめていた



河川敷に着くと小高い丘のようになっている場所に数人の組員さん



するとあたし達を待っていたかのようにどーんと大きな音をさせ



打ち上げ花火が夜空を彩った




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