溺愛協奏曲
私、高遠 莉子 16歳


精華女子高校に通う1年生



精華女子はこのあたりでは最も古い女子高で普通科と家政科がある



あたしは家政科の1年



良妻賢母にするなら精華の家政科に通わせろというくらい料理やお裁縫はもちろん


行儀作法に至るまで充実している




まあ、あたしがこの高校を選んだのは料理が得意だってのも理由のひとつ




小さい頃母親が男つくって家出してからは自然と家事があたしの役目




父親と二人っきりだし、やってくれるひともいないしね



だからあたしの毎日は家事に勉強にバイトにすごく忙しい




だから、女子高なら男のトラブルもなく快適にすごせるって思って





いたんだけどどうも世の中うまくいかないみたい





ここ最近先輩から呼び出しを受ける回数が入学して以来増えてるのだ



捕まらないうちに早くかえろ




キーンコーン  カーンコーン





チャイムが鳴り急いで片付けて帰り支度を急ぐ




今日は先生の研修会とやらで午前授業なので皆、テンションが高い





「ねーお腹すいたから帰りなんか食べてかなーい?」



「フャミレス寄ってこーよ」




「さんせーい!!」




そんな声があちらこちらで上がるけどあたしに声を掛ける人はいない




噂のせいもあるけどあたしのほうで距離を置いてるっていうか




一線ひいてるって感じ




女って色々めんどくさいし一人のほうが気が楽なんだよね




あーお昼どうしようかなーパスタにでもしようかなー




なんて考えながら鞄に荷物を詰めていると後ろの方から大きな声が響いた






< 3 / 423 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop