溺愛協奏曲
第32章
「珍しいねえ・・・こんな時間に莉子ちゃんが来てくれるなんて」




「すいません、突然お邪魔しちゃって・・・なんかご迷惑でしたか?」




「いやいや・・・迷惑だなんて・・・わしはうれしいんだよ」



そういって満面の笑みを浮かべて笑う哲さん



今日は花子さんはデイサービスに行く日



お迎えのバスが来て近隣の老人ホームで一日過ごして夕方帰ってくるらしい



まあ・・・・おじいちゃんおばあちゃんが老人ホームで一日遊んだり食事をしたり



して楽しんでくるみたい、哲さんにとっては束の間のほっとできる一人の時間





そんな貴重な時間にお邪魔したあたしって・・・・馬鹿としか言いようがない




「莉子ちゃんみたいな可愛い子と話が出来るなんてわしは世界一幸せもんじゃ


そんなことよりこの間はすまないことをしたね・・・すっかり迷惑をかけちまって」



「いいえ・・・・そんなことないです!花子さんが無事でなによりです!」




「ありがとう・・・そういってもらえてうれしいよ、ああそうそう!一緒に

捜してくれた男の子にお礼を言っといてくれ・・・・そうだ!今度一緒に


食事をするのもいいかもしれん・・・都合のいい日を聞いといてくれないか?


もちろん莉子ちゃんも一緒じゃよ」




「哲さん・・・・そんな、あたしは当然のことをしただけなのに・・・」




あたしがそう呟くと一瞬哲さんの瞳が曇る


ちゃんと目を冷やしてこなかったのまずかったかな?



とっさにそんなことを思った





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