溺愛協奏曲
「莉子ちゃん・・・なにかあったのかい?泣き腫らしたような眼をしてるよ」



「哲さん、これは・・・あの」




「無理にとは聞かないがこの年寄りに何か出来ることがあるかもしれん・・・たとえ


何もできなくても話を聞いてあげることくらいは出来る、だから話してみなさい



胸の中に溜めていないでわしに吐き出してみなさい」



「て・・・・哲さん・・・・」




あたしは哲さんの言葉を聞いた途端、堰を切ったように泣き出して蓮のことを



掻い摘んで話しだした・・・出会いから今までのこと、今でも大好きな蓮のことを・・・




何故か突然連絡が途絶え、寝耳に水の婚約話が聞こえてきたこと



そんな話をただ黙って聞いていた哲さんは話が終わるといつになく真剣な顔をあたしに向けた




「その、彼の名前はなんていう名前なんだい」




「東條蓮・・・・って言います・・」




「東條蓮君か・・・・」




哲さんはしばらく考え込むように俯いたあといつものような笑みを浮かべあたしの



頭をくしゃりと撫でた



「莉子ちゃん、辛かったねえ・・・話してくれてありがとう


でも、もう大丈夫じゃこの爺にまかせておきなさい悪いようにはせんよ」



「哲さん・・・・・?」




この時は哲さんの言ってる意味がさっぱりわからなかったあたしだけど


哲さんの言っている言葉の意味を理解する時が間近に迫ってきていた


なんてあたしには思いもしなくて・・・・そのあとは哲さんとふたり、花子さんの話で


盛り上がり時間を忘れて話し込むあたしがいて一時、蓮のことを忘れていられたのだった
















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