溺愛協奏曲
ステージには蓮のお父様、蓮と紗枝子さん、そして紗枝子さんのお父様



現在の坊城グループのトップである40代位の背の高い男性が挨拶をしていた




あれが・・・・あのひとが現在の坊城グループの社長・・・・




その社長によると二人の婚約が正式に決まり高校卒業と同時に結婚すること



業務提携も正式に決まりホテル業の全部を東條組が取り仕切ること



などが坊城家のトップから説明され会場はどよめきに包まれた




あたしはただ溜息をついてステージにいる蓮を見つめていた



苦しい・・・・苦しいよ




婚約は嘘だって言ってよ・・・・結婚なんてしないって言ってよ!




心の中でなんど叫んでも目の前にいる蓮はあたしに微笑みかけてはくれない



作り笑いでも微笑みかけるのはあの人なんだ



現実を突き付けられたあたしは俯いたまま立ち尽くすしかなかった



「莉子ちゃん・・・・・大丈夫?」




「うん・・・平気・・・大丈夫だよごめんね」




拓巳くんはあたしの肩をそっと抱き寄せた



あたしは二人を見ているのが辛くて拓巳くんが支えてくれなかったら立って居られなかっただろう



そんなあたし達をステージ上から蓮が見ていたなんて・・・・・



狂おしいほどの熱い視線をあたしに向けていたなんて知らずに・・・・




拓巳くんに支えられ涙を堪えるのに必死だった
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