溺愛協奏曲
どれくらいそうしていたんだろう



あたしは拓巳くんに支えてもらっていると気が付くまでしばらく時間がかかった




あ・・・・あれ?




あたしってばどうしたんだっけ?




気が付けば目の前にはオレンジ頭の笑顔の可愛い男の子




あたしを見て心配そうな顔を浮かべている





「拓巳・・・くん?」




「莉子ちゃん、本当に大丈夫?顔色が悪いよ・・・・さあ、ここに座って」




拓巳くんはすぐそばにある椅子を引き寄せてあたしを座らせた



すると目の前にしゃがみこみあたしの手をそっと握りしめた



「ねえ・・・俺ってそんなに頼りないかな?もっと弱音吐いて思いっきり


泣いていいんだよ?辛いときはもっと俺を頼って構わないからさ・・・


俺が莉子ちゃんの癒しになれればいいけど、まあ・・・まずは最初はそこからだな」




「拓巳くん・・・・・ありがと」




あたしは零れ落ちそうになる涙をそっと拭いながら拓巳くんに微笑みかけた



この時のあたしの顔は他からみたら苦しそうなつくり笑いに見えていたかも・・・・



そんなことを思いながら一生懸命笑顔を浮かべていた



拓巳くんに心配かけたくないし・・・・



蓮の姿を見てこんなにも心が動揺していることを悟られたくない



「拓巳くん、あたしお腹すいちゃったかも・・・あそこにサンドイッチがあるから


一緒に取りにいかない?」



「サンドイッチ?いいよ!俺が取ってくるから莉子ちゃんはそこに座ってて・・・」




あたしは精一杯いつもの自分を演じていた


















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