溺愛協奏曲
手がみるみるうちに血に染まりドレスが血で染まった



あたしはかみそりからそっと手を離すと紗枝子さんの手からかみそりが滑り落ちた



う~痛い・・・今頃になって痛くなってきたし・・・



青くなって固まる紗枝子さん




あたしが抵抗してかみそりを握りしめるなんて思わなかったんだろう



彼女は目を見開いたままそんなあたしをじっと見つめている



あたしだって顔に傷がつくなんて嫌だし抵抗するのは当たり前だよね



血だらけの手を握りしめるとあたしは立ち上がった




「とにかくあたしはこの街を出て行きませんから・・・・それだけはあなたに


言っておきます、じゃあ、あたし帰ります」




呆然とする彼女を振り払い部屋を出て行こうと歩き出した



ああ・・・このドレス茜ちゃんからの借り物なのにどうしよう



怒られるかな・・・・血だらけの手を見つめふとそんなことを思った



こんなことをしてまで蓮の心が欲しいなんて・・・・



彼女はお金や権力でなにもかも手にはいってきたから好きな人の心を



手に入れる方法がわからないんだ・・・・ある意味それはとってもかわいそう



あたしは有り余る財力を持つ坊城グループのお嬢様を気の毒な人だな・・・・



心の底からそう感じて扉の前に立ってドアノブを握りしめようとする



すると、急にドアが何の前触れもなく開いた




「おい!紗枝子!!親父さんがお前のこと捜し・・・・てって莉子?!」




目の前にいたのはあんなに逢いたかった蓮で、あたしをみるなり目を丸くしている



蓮は心底驚いていたようだけどあたしの手と血だらけのドレスを見るなり



顔色がみるみる変わった・・・・見たことがないくらい恐い形相になると



紗枝子さんをぎろりと睨んだ










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