溺愛協奏曲
このままパーティをぶち壊してやろうか?



このまま莉子と二人で逃げて何処か遠くへ行こうか



そんな思いが頭をかすめる・・・がそれはとても危険な行為だ



莉子を危険な目に合わせるわけにはいかねえ



たとえ逃げても坊城の力であっという間に見つかりその後何をされるか・・・・



そう考えただけで背筋が寒くなる



俺は溜息をひとつつくと紗枝子の婚約者を演じることに徹した



パーティでは紗枝子を愛している婚約者を演じきったので無駄に疲れたような気がする




そもそもこのパーティの発案も紗枝子が言い出したこと




今思えば、公にすることで俺を繋ぎとめておきたかったんだろう



この時の紗枝子に言ってやりたい



心までは縛り付けることはできないってな・・・・




俺はパーティ会場の舞台から莉子を見つめた



紗枝子と腕を組んで現れた俺を・・・お前はどう思っただろう



笑顔を無理矢理貼り付けて婚約者を演じる




そんな俺を悲しげな瞳で莉子が見つめていたなんて知る由もなかった



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