【完・短編】~彼女は春を告げる~
◇彼女は春を告げる
『将光、おっはよ~!どうしたの早いじゃん!』
柔らかくて、どこか温かくて、甘くて。
春を告げるような。
そんな愛しい声が俺を呼んだ。
「別に早くねーし」
『えー、だって普段こんな早く登校しないじゃん。通学路で会うなんて初めてじゃない?』
「そんなこと………」
………あるか。
『まぁ、良いやっ。学校まで一緒に行ってあげるよ』
「何で上からなんだよ」