青い猫の花嫁

だから、“好きになる気持ち”を要らないって言ったんだ……。
悲しいだけだから……。



「……何か方法はないの?」

「俺たち猫憑きは、そうして生きてきたんだよ。
でも今年は、真子がいる。真子ならきっと十三支の楔を解いてくれるって、俺信じてる」

「でもあたし、どうすればいいのかわかんない」


トワの事……忘れちゃうの?



ジワリと視界が滲む。

空はオレンジから、紫、そしてビロードに色を変える。
ほんの数分の事なのに、世界は瞬く間にその姿を変えていく。


目の前にいるトワも、会うたびにいろんな表情を見せてくれる。
まるで、空みたいに。

ほら、今だって……なんでそんな泣きそうなの?



「真子はなにも心配する事ないよ。悲しい想いはしないように、俺が守るから」

「……トワ……」


そんなふうに言われて、好きにならないなんて、無理だよ。

もう、あたしの心には、トワが好きって気持ちが溢れてる。



絶対、絶対に、無くしたない。

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