青い猫の花嫁
手元から、物凄い風が巻き起こった。
「え、え?なにっ」
慌てて飛び退こうとしたけど、それは叶わなかった。
まるで何かの術にでもかかったみたいに、伸ばした手は、黒猫から離れない。
それどころか、見る見るうちに猫が再び姿を変えて、手の中に吸い込まれていく。
やっ……!
「……っ、正宗! どういう事!?」
ギリッと表情を歪めたトワが、あたしをかばうように肩を抱いた。
勢いを増す風に、たまらず顔を歪め、そのままトワの胸に顔を埋める。
あ、あつい……!
手の中が熱い!
やがてそれは真っ白な強い光を放ち、瞬く間にあたし達を呑みこんでいく。
抗えない……!
完全に呑みこまれちゃうその瞬間――――……
光の向こうで、正宗さんと目が合った。
―――……ドクン
ぽっかりと開いた真っ黒な穴。
その目は、まるで意志を持たない人形のようで……。
ま、さ……むねさん……どうし、て……。
ゆっくりと開いた正宗さんの口が、モゴモゴと動いた。
え?なに?
―――願いを……ねがい?
そこで、あたしは意識を手放した。