青い猫の花嫁
ありがとう。
待っていてくれて。
遅くなって、ごめんね?
抱き締めていた猫が、突然淡い光に包まれる。
幸せそうに満ち足りた顔の猫は、細かな光の粒になって高く高く昇って行く。
あたしはそれを追いかけるように、空へと手を伸ばした。
「……っ、さよなら……」
……そうして。
光が消えていった空からは、代りに桜の花びらのような、真っ白な雪が舞い落ちてきた。
そこで気が付いた。
あたし達のまわりに、十二支のみんながいた事に。
彼らもこうして、猫をずっと見守ってきたのかもしれない。
猫が天に昇って行くのを見届けたかのように、十二支たちも次々と光に包まれた。
「みんな……ありがとう……」
はらり
はらり
まるで、千年もの想いを残すように……。
あたしの髪や頬、唇に触れては消えてしまう。
それは冷たくなんかなくて、それどころかほんのりとあたたかい。