青い猫の花嫁


なに、この子……。

茫然とその背中を追いかけると、階段の途中で固まってるトワに抱きついてるのが見えた。



「無事?なにもされてない?家に帰ってないってお爺さまに聞いたから拉致られたと思って心配してたんだよ?」

「ナギ、ちょっと」

「それでやっとの思いで廉兄さんに聞きだして来てみれば、こんな小さな家に閉じ込められて……」

「あのさ、ナギ……」

「トワっ、あたしが来たからにはもう大丈夫!安心して?家に帰ろう」

「……」



がっちりと腕が回されて、トワの眉間にグッとシワがよる。
ある意味すごい、トワの話全然聞いてない……。

さらにポカンと開いた口が塞がらない。
なんなの?拉致とか、閉じ込められてとか。

こんな状況に困ってるのはあたしの方だってば!



それに靴ーーー!


「あ、あの、すみませんけど」



踵を返して、階段を見上げたとたん、トワの話なんて全く聞いてなかったナギさんが振り返った。


「どうでもいいけど、トワはあたしのだからねっ」


……は?




ナギさんにきつく抱きしめられたまま、すでに諦めたようにトワの視線は宙を仰いでる。

胸の中、モヤモヤする。

モヤモヤして、なんか、なんかすごく……。



「あ、あの!」

「おっはよー!って、あちゃ。遅かった」


え?


背後で声がして、振り返る。

とそこには、「やれやれ」と頭を掻く廉次さんの姿があった。


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