青い猫の花嫁

――――……
―――……


廉次さんの前に紅茶の入ったカップを置くと、垂れ目がちの瞳が細められ「ありがとう」と笑ってくれた。


「――今日はね、三國で毎年恒例のお花見なんだ。お花見と言っても和気あいあいと桜の下でお酒を酌み交わしたりはしないんだけどね?ほら、未成年の子達もいるし、大人は大人でそんな呑気な事してる場合じゃないしね。特に今年は。

それに桜も咲いてないでしょ?もう7日もすれば4月だって言うのに」


「お花見?」


廉次さんの前に座るナギさんにも、同じようにカップを差し出す。
すると彼女は、それをジトッと見て小さく息を吐いた。


「あたし紅茶はミルクティしか飲まないんだけど。ま、いいわ」

「……」


あたしはそれに苦笑いで返し、廉次さんの隣に腰を落とす。

それから顔を上げた。


目の前には朝だというのに、疲れ切ったトワ。
彼の腕にはナギさんが巻き付いている。



……む。

なによ、こんなふうに好意持ってくれてる女の子がちゃあんといるんじゃない。

だったら……、あたしじゃなくて、その子に頼めばいいのに。
お嫁さん……。

強い絆、必要なんでしょ?


「まーこちゃん?」


へ?

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