WITH
一瞬、頭によぎる廉の姿を掻き消すかのように、次々に与えられる甘い刺激が……廉を忘れられる唯一のもので。
だからこそ私は、男に抱かれ続けてしまう―――
気の向くままに女を抱く男に都合よく抱かれる私を、廉が知ったら軽蔑するのかもしれない。
なんて考えても、無駄なことはわかっている。
廉にとって大切なのは、
“蜜華さん”であって“私”じゃない。
私が何をしようが、気にするわけないんだから……
2回目の行為が終わった後、私がシャワーを浴びている間にベッドで眠りについてしまったらしい男を残して、一人ホテルを出た。
冬特有の凍える程の寒さがキーンと身に沁みて、髪を芯から冷やし体から容赦なく熱を奪い取っていく。
手に持っていたコートを羽織り足早に歩き出せば、人通りがただでさえ少ないホテル街はシン――としていて、靴音が響き渡っていた。