WITH



「……姉貴さ、まだ廉先輩が好きなんだろ?」



律の優しい眼差しも、廉がそんな風に私を思っていたことも。


私を泣かせてしまうには十分すぎて、泣き顔を隠すように顔を膝に埋めたけれど漏れる嗚咽は、もう抑えきれなかった。



「す、き……
 廉が、好き……っ」



7年振りに口に出した本音は、廉への思いを更に自覚させ……廉を恋しくさせて欲してしまう。





「もう1回、廉先輩に会ってみたら?」



嗚咽が治まり始めた頃、律に言われた一言にゆっくりと顔を上げて。


手の甲で涙を拭いながら、
「そんなの無理でしょ……」
薄く笑んで、呟くように答えた。



「そんなことな…「だって、廉には蜜華さんがいるじゃないっ!!」



律の言葉を遮った私は、笑うことさえ出来ていない。


< 129 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop