WITH


にっこりと愛想のいい笑顔を浮かべる廉を見上げながら、
“これはもしかして、営業スマイルなのかなー…”なんて、今の状況に似つかわしくない考えを頭に浮かべていると、



「そのうち、オレのモノにするつもりなんですけどねー…
ていうか、ソレ。……結婚指輪じゃないですか?」



笑い声が消えて、晴哉の目線と指差す先には、廉の左腕の最先端。


―――蜜華さんとの結婚指輪がはめられた、左手の薬指……



「それって要するに、“不倫”ってことですよね?」



廉が何も言わないことが、肯定を表して。


更に追い討ちをかけるかのように言葉を紡いでいく晴哉に対して、廉の口からは“チッ”と舌打ちする音が聞こえた。



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