WITH
「無駄に近付くなって……」
呟かれた一言と共に再度歩み出した私と廉は、そのまま会話が生まれることもないまま、タクシーに詰め込まれるようにして乗せられた。
着いた場所は、見慣れたマンションの自分の部屋。
促されるまま鍵を開ければ、あっという間に寝室に押し込まれた。
「アイツ、何なわけ?ムカつくんだけど……」
簡単にベッドに押し倒されて、見上げる先には冷めた表情の廉。
ベッドに上がる前に脱がれたスーツの上着はすでにベッドの下で、ネクタイに人差し指を引っ掛けて緩めている廉に、私は何も答えられないでいた。