WITH


そこまで話したら、途端に静寂だけが訪れて……晴哉は何も話さない。


やっぱり、こんな話しない方がよかったのかなー…???


ジワリ…と簡単に潤む視界を隠すように俯いたら、



「紗和ちゃんが話したいと思うなら……話してよ?オレは、辛いなら無理して話してもらおうなんて思ってないから。話したくなったらでいいよ。……ゆっくりでいいんだし」



穏やかに語りかけるような感じで、ゆっくりと言葉を選びながら話しているような……晴哉の優しさが嬉しくて。


晴哉の優しさに触れて、私の涙は地面にポタポタとこぼれ落ちていた。



「……って、紗和ちゃん!?
なんで、泣くの?……だから、無理するなって言ってるのに……」



一度立ち上がり、しゃがんで私の顔を覗き込みながら涙を拭ってくれている晴哉は、柔らかく微笑んでいて。


私の膝の上に乗せられたもう片方の手の袖口を握って、私は同じ高さの目線にいる晴哉を見つめ返した。



< 276 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop