WITH


不意に、押し黙ったままの私の手からスルリと抜き取られた携帯―――


驚いて携帯の行き先を目で追い掛けると、そこには廉がいて



「紗和なら大丈夫だから、心配すんな。じゃあな♪」



廉は携帯を耳に当ててそう言うと、ピッと音をたてて電話を切ってしまった。



「ちょ……っ!!何して…!?」


「……行くぞ」



私の反論にも動じず、また私の手首を掴んで歩き出した廉に引きずられるようにして歩いていくと、ホテルの中庭の噴水の前まで連れて来られていた。



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