WITH


聞き終えた瞬間、私は俯いてしまっていた。


それが……
私と廉が別れなければいけなかった理由……???



「ごめんな?あの時の俺は、紗和の前では強がっていてもスッゲー落ち込んでてさ……紗和をこれ以上危険な目にあわせないためには、そうするしかないと思ったんだ。

―――今考えれば、
紗和と離れなくても、他にいくらでも方法はあったのにな?」



悲しそうに微笑む廉を見つめる瞳は、徐々に潤んで滲み出す。


そんなことしたって、なんの解決にもならないのに……



「そんなの……全然、嬉しくないよ?私のために、そうしたんだとしても……嬉しくない!!

どんなに辛いことがあっても、廉が一緒にいてくれるなら何だって耐えられたのに……っ!!」



頬を伝う涙がとめどなく流れて、足許の煉瓦を濡らし色濃く変えてしまう。


時々、漏れそうになる嗚咽を隠そうと掌で口許を覆った、その瞬間。


―――廉に強く、抱き締められていた……



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