WITH



「今更……何、都合のいいこと言ってるんですか?どれだけ、紗和ちゃん傷付ける気なんだよ……」



真っ直ぐに晴哉を見つめ続ける廉と、俯いて拳をギリギリと音がしそうなほど握り締めている晴哉。


晴哉は……私のために、こんなに怒ってくれる優しい人。


廉以上に好きになれると思った、離れたくないと思えた人で……






それなのに。


なんで、こんなにも私の心は廉を求めてしまうんだろう……



「紗和ちゃん、行こう!!」



そう言ったと同時に晴哉が私の手首を握って、足早に歩き出していく。


解こうと思えば解けるくらいの弱々しい力で握られていたのに、それを私は解くことが出来なくて……


振り返って見た廉の姿は儚くて、手を伸ばしても届かない空の太陽のように遠い存在になろうとしていた―――



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