WITH



「……ごめんね、晴哉。私、たくさん晴哉を傷付けたよね?」


「気にしなくても大丈夫。オレは男だからさ♪

最後だから言うけど……
紗和ちゃんは、真面目すぎだよ?オレのことなんて気にしなくていいから……ちゃんと、自分の気持ちには正直になってね?きっと……」



“紗和ちゃんは、廉を求めてるハズだから”


にっと笑ってそう言った晴哉に視界が歪んだけれど、必死で堪えた……


傷付けた張本人の私が、晴哉の前で泣くなんてことしちゃいけない。



「本当にごめんなさい……
でも、ちゃんと晴哉のこと好きだったよ……」



抱き締め返すことは、もう出来ないけれど。


唯一、廉以外へ寄せた思いは、ちゃんと本物として存在していたこと。


絶対に、忘れはしないから―――



「今まで、ありがとう」


「……オレの方こそ、礼言いたいくらいだし!ありがとう……今度こそ、幸せになって?」


「晴哉もだよ」



見上げた先には笑顔の晴哉がいて、私も笑顔を返した。


精一杯の感謝を込めて―――



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