WITH
「やっぱり、アイツか……」
明らかに落胆の色を見せながらも、それでも柔らかく微笑んでくれている晴哉。
胸が痛くて痛くてしょうがないけど、私はきっと、こうするべきなんじゃないかと思うの―――
「ううん……二人のどちらかを選ぶなんて……そんな天秤にかけるようなこと出来ない。だから、一人になってみたいんだ……」
「……そっか。
じゃあ最後に……オレの我儘、聞いてくれない?」
「な、に……?」
首を傾げた私は、次の瞬間、晴哉の胸に抱き寄せられていた―――
「最後の我儘……抱き締めさせて。ちゃんと、諦めるから……」
静かに紡がれたその言葉に、私は大人しく晴哉の腕の中にいることにした。