WITH


またいつか……、
廉が離れていってしまうんじゃないかと不安で……


そんなことを考えると、私は廉の問いに何も答えられず、ただただ黙り込むことしか出来ずにいた。


廉が信じられないわけじゃないのに……


たぶんそれは、心に住み着いてしまった小さな小さな“闇”のせい―――



「……紗和?」



呼ばれた直後、ふわりと優しく包み込まれるように、廉の胸の中へと引き寄せられていた。



「何か言えって……、黙ってたって何も伝わらないんだからさ?
紗和が思ってること、考えてること、全部、俺に教えて?」



廉の優しい声音に誘導尋問でもされたかのように、私の口からはスルスルと……次から次に、言葉が溢れ出していた。



< 337 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop