カノジョの死因、他殺。
「してないわ。 漬物異常に好きなだけだわ」
軽快な音を鳴らしながら、健人も笑った。
その漬物をビールで胃に流し込んだ健人は『んー』と小さく唸った。
「何??」
「ん?? オレさ、ハルがちょっと冷めてきてるの気付いてたよ。 浮気を知っても多分そこまで怒らないだろうなってゆーのも予想してた。 だから尚更亜美ちゃんが可哀想だなーってさ」
だから健人は亜美と寝たんだ。
冷めたオレの気持ちは動かせない。 だから亜美の気の済む様に。
やっぱり健人は優しいヤツだ。
さすが親友。
でも、間違ってるよ。
オレ、亜美の事は好きだったよ。
長く付き合っていれば、付き合い初めのようにラブラブじゃなくなる事は当然で
亜美といて、ドキドキはなくなっても安心出来て心地良かった。
平穏な時間が好きだった。
気持ちが穏やかだったから、『浮気』を知った時、沸点を上げられずに、逆に下げて冷やしてしまったんだ。
イヤ。 ちょっと嘘だ。
それだけじゃない。
今、こうして酒を飲んでる最中でも
佐伯さんが頭を過ぎる。