先輩と私と。
「え、どこどこ??」





周りをきょろきょろすると、





目の前から、拳を握った零が歩いてきていた。








駅に向かうんだ。





だから、この道を歩くんだね。





「ちゅー、してくれば?」





最新ネタで私をからかう琳。





「いやいや」





零が私に気がついた。






特徴的な走り方で寄ってきてくれる。





「じゃ、先いってるねー」





2人はあっさりと私を見捨てる。





「おはよ!!!!」





だれも周りにいないのをいいことに、私は大声で挨拶をした。





「おはよー」





零は、少し震えた声で言った。






私は背筋を伸ばす。




「頑張ってきてください!!!!」





敬礼のポーズをした。





すると、零も同じ格好をして、




「はいっ。頑張ります!!!」




と言う。





私は敬礼をやめると、えへへへと笑う。





零は微笑む。





「あー、ちょっと緊張ほぐれた」





肩をふにゃ、と落とした。





「ホント??よかったー」





「ホント。じゃー」





拳を私に向けてくる。




だから私も拳を作って、零の拳に当てた。





「じゃーな」




「うん。ばいばい!!!」







私は学校に向かって走り出す。




零は駅に向かって堂々と歩き出す。






零は一度も振り返らなかった。





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