もう一度愛を聴かせて…
   ◇


今日は楽しいデートになるはずだった。

それが、なぜか彼は約束の時間より、二時間も早くわたしを迎えにきたのだ。


わたしはちょうどシャワーから出たところで、


「若菜っ! おまえ、本当に奴と寝たのか? そういう女だったのか? ちくしょう馬鹿にしやがって!」


そう言うと、彼、橘大樹さんはバスローブ一枚のわたしを二階の部屋まで連れて行くと、ベッドに突き飛ばした。


「きゃ!」


仰向けに倒れこんだわたしに飛びかかり、バスローブに手をかける。下には何も着ていない。脱がされたら簡単に裸になってしまう。


つい先日まで、彼はわたしのことをとっても大切にしてくれた。

わたしがまだ高校生だということ。そして、わたしのお父さんが警察署長だということも大きいと思う。

さらには、彼自身が去年の春、県警に配属されたばかりの警察官だった。

そんな彼を、わたしは百パーセント信頼していた。


< 2 / 56 >

この作品をシェア

pagetop