もう一度愛を聴かせて…
最後はやっぱり、親に文句を言い始めた。


「立派なご職業のご両親ですのに、娘さんの非行に気づかれなかったんですか? こういうことは、女親が気づくものなんですがねぇ。とにかく、生徒や父兄の間にも噂が広まっています。明日の始業式は登校しなくていいから。処分は決定しだい連絡します」


自宅待機という名目の無期停学だった。

多分、一週間以内に退学の処分が出ると思う。


両親はわたしの返事を聞くなり、無言だった。どんな嫌味を言われても、黙って頭を下げていた。

お父さんやお母さんのせいじゃないのに、そう思ったけど……。

わたしには何も言えなかった。


   ◇


自宅に戻るなり、お父さんはわたしの頬を叩いた。

玄関でウロウロとわたしたちのことを待っていたお兄ちゃんが慌てて止めに入る。

お父さんに叩かれて玄関に座り込むわたしを、お母さんは抱き締めて泣いていた。初めて見たお母さんの涙に、わたしは胸が締め付けられる。


「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい」


壊れたCDプレーヤーのように、それだけを口にするのだった。


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