週末シンデレラ番外編SS集
告白を断ってから誘われたこともあったけど、彼からは下心を感じなかった。
それに……わたしが彼の気持ちに応えなければいいわけだし。
……そっか。ちゃんとそのことを征一郎さんに言えば、安心してくれるよね。
「でも、大丈夫ですよ。わたしは……せ、征一郎さんのことしか見えていないので」
よし……ちゃんと伝えたいことを口にできた。
わたしは恥ずかしさを紛らわせるために牛肉を口に運ぶ。すると、征一郎さんもナイフとフォークを掴んで乱暴に牛肉を切り分けだした。
「そ、そうか。それならよかった…………んぐっ……ゴホッ、ゴホッ」
どうやら征一郎さんも照れたらしく、アタフタしながら口に頬張りすぎたらしい。
「だ、大丈夫ですか!? 水、飲んでくださいっ」
わたしがグラスに入った水を差し出すと、苦しそうな顔でゴクゴクと喉を鳴らしながら飲んでいる。
しかし、わたしはテーブルを見てあることに気づいた。
「……あっ! そのグラス、わたしの水でした」
慌てていたので、つい目の前にあった自分の水を差し出してしまった。
「っ……! ゴホッ、ゴホッ……」
征一郎さんはグラスから口を離すと、またむせていた。
「す、すみません……」
楽にしてあげたいと思ったのに、余計に苦しませてしまった……。
わたしが肩をすぼめて謝ると、征一郎さんはむせた拍子にずれたのか、眼鏡を中指で押し上げる。
「いい、気にすることはない。むしろ得した……いや、なんでもない……っ、ゴホッ」
得した……って……!
「征一郎さん……っ」
冗談で言ってくれているとわかっているのに顔が熱くなる。
征一郎さんも耳だけじゃなく頬も赤くして、しばらくむせていたのだった。