等心大〜tou・sin・dai〜
初デート
あれから私は
ずっと悩んでいる。

あっという間に
大川さんとのデートの日が
きてしまった。


友貴とは
メールはするものの
会っていない。
もともとお互い
電話が好きではないのだ。



昨日はエステと
ネイルサロンに行った。

だけど
なんとなく心は沈んでいる。



どっちを選ぶのか―

問題はそれだけじゃない。
春奈と再会したことで
仕事に対しても
“このままでいいの?”
という疑問が
生まれている。


今までは
いつか結婚することが
当たり前のように
人生プランにあった。

でも
結婚がすべてじゃないのかも、
なんて思い始めてる。




だけど
私に何ができる――?




自問自答を繰り返しながらも
職場のロッカールームで
デートの準備をする。

あの
大川さんの屈託のない笑顔に
向き合えるテンションじゃない。

だけど
すっぽかすわけにもいかない。

まだ結論が
自分の中で出てないうちは
どれも捨てるわけにはいかない。




グロスを塗り
鏡の中の自分に
ニッコリ笑いかけてみた。


また大川さんと
初めて会ったときのような
テンションになれるだろうか。


友貴とも
まだどうするのか決めていない。

私ってホント優柔不断。

何がしたいのかさえ
自分でわからないなんて。



物事を
10代の頃のように
単純に考えられなくなっている。

恋愛も、仕事も、
すべてのことに保険をかけないと
不安になる。



こっちがダメでも
あっちがあるさ、みたいに。


弱くなったのかな。
何もなくなったら…って思うと
すごく怖くなった。

昔はそんなこと
考えもしなかったのに。





――さて、行くか。


気分は沈み気味だが
ムリヤリ背筋を伸ばして
明るい表情を作ってみる。


外に出て
待ち合わせのスタバに向かう。


店の中に入る前に
かるく深呼吸をした。
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