すっぴん★
元気そうな俊介の顔。
その顔は、素を見て微笑んでいる。
(会いたかった。死ぬほど。オーバーじゃなくて、心の底から)
俊介に会えない事が、こんなに苦しい事だとは。
素は1週間俊介に会わないだけで、禁断症状のような苦しさを味わっ
ていた。
「1週間、寂しい思いをさせたね。これは、お詫びの印だ」
素に会うなり、俊介がリクルートスーツの内ポケットから、二枚のチ
ケットを取り出した。
それは、劇団季節のミュージカル。『タイガークイーン』のチケット
だった。
それも、貧乏学生には、目が飛び出るほど高いS席。
「快気祝いに何をしよううか、迷ったけど。結局、これと・・・にし
た。遅くなったのは、バイトで軍資金を稼いでいたから。遅くなって、
ごめんね」
俊介が小さく頭を下げた。