すっぴん★
「何から始める?」
沙樹が高橋に尋ねた。
「口紅から始めましょうよ」
高橋が口紅をひとっ所に集めた。
「すげえわね。二人合わせると口紅だけでも10本以上あるんだから」
「使いさしばっかり。すぐ、飽きるからね。これ、みんなするの」
沙樹が兄の顔を見て。
「色素が違うから。念の為、みんなしましょうよ。白井、腕を出して
くれない」
「ええ、了解よ」
素が腕のTシャツを捲り、テーブルの上に腕を置くと、腕の内側を上
にした。
「では、始めるわね」
高橋がレッド系の自分の口紅を摑んで、素の腕に短く線を引いた。