満月の人魚
(何だってあんなに見てきたのかしら?)

それに引き込まれるように、自分も見つめ返してしまったー。

朝日を受けて煌めいて見えた意思の強そうな瞳を思い出す。

見つめ合っている間は、まるで全ての音を遮断した二人きりの世界に閉じ込められたような心地がした。

ー急に恥ずかしくなり、瑠璃は気持ちを切り換えるように一度頭を横に振ると、また醒めた表情で前を向いた。

後ろから黒沢がまた自分を見つめているとはつゆほども思わずにーー。
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