ロリポップ
 結局、瑛太は続きを何も言ってくれないままさっさとエレベーターに乗って行ってしまった。
 続きが気になって仕方なくなった私は、瑛太にメールを送る。


《さっきのは何よ》


《さっきのって?》


《ムカツク~!さっきのって言ったらさっきのよ、ふ~んて何よ》


《恩田の事?》


 分かってるんじゃない、ホント、ムカツク。


《そう》


《別に深い意味はないけど。お前の面倒見させて悪かったなあとか?》


 何で疑問系なのよ。


《ちゃんとお礼するから心配なく》


《そうしてやってくれ。じゃあな》


 なんかはぐらかされた感じのメールを見ながら、私もエレベーターに乗った。 







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《お昼、社員食堂で待つ》

 また、例の果たし状が送られてきた。
 時計は12時の10分前。
 コピーしていた書類を部長に渡して、私は席を立った。
 ちょうど12時のチャイムが鳴る。
 我ながらいいタイミング。
 そのまま社員食堂に急いだ。


 友華の姿はなく、私のほうが早かったみたい。
 日替わりのAランチはオムライスにサラダ。
 迷わず、Aランチを頼んで、先に席を確保した。
 少し遅れてきた友華も同じAランチを私の前に置くと、その席に座る。
 

「音羽・・・」



 トロトロの卵をほお張りながら友華がギロリと私を見る。 



「な・・・何?何で、睨むのよ」



 蛇に睨まれた蛙状態の私は、口に運びかけたオムライスを入れる事も出来ずに固まっていた。



「今朝、瑛太と何見詰め合ってたのよ」



「は?」


 見詰め合ってた?
 瑛太と私が・・・?
 気持ち悪い、そんな事ある訳ない。




「あれは、瑛太が誰に送ってもらったかって聞いてきただけよ」



「ホントに?」



「ホントに。だいたい、今更、私と瑛太がって無いから。考えれないし」



「大丈夫。そこは心配してないから」


 だったら何の心配してるって言うのよ・・・。
 友華は残りのオムライスをあっという間に平らげて、サラダに手を伸ばす。



「で、誰と帰ったの?」



 本当に自分の興味のある事からだよね・・・普通、置いて帰った友達の事が気になるでしょ・・・。



「健成が送っていくって言うのは考えられないし」



 送って行く訳ないって思ってる林田君に私を任せて帰るってどうなのよ?
 せめて、確実に送ってくれる人に頼んでよ。



「恩田君が送ってくれたんだ?」



「うん・・・そうみたい」



 彼の部屋に泊まったことは瑛太にも友華にも何だか言えなかった。
 別に何も無かったんだから言ってもよかったんだけど、なんとなく言えなかった。
 


 
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