シークレット・ガーデン
司は意識していないけれど、長い睫毛を伏せ、瞳だけをこちらに向けて喋る様は、とても哀愁があり、男盛りの色気に満ちていた。
「…この家さ」
静かな間を少しだけ置いて、司は語り出した。
「……前の奥さんの親に生前贈与って形で援助してもらって、俺とあいつの共同名義で建てたんだよね。
離婚して、俺の物になった。
まだローンだいぶあるけどね。
世間じゃ全然知名度低いけど、相手は若い脚本家だって…
あいつも女優の端くれだし、そんな男と付き合ったら、夢中にもなるよな。
最初、あいつは自分が親権取るつもりだったんだ。
結局、連れ子は困るって相手に言われて。
じゃあ、俺が渚を引き取るって話になった。
それが2年前くらいの話…」
ふう……と司は溜め息を吐いた。
「そうなの…」
司の落ち着いた物言いの奥には、深い悲しみと諦めが込められていて、真彩はなんと答えていいのかわからなかった。
「もう、十分話し合って、こういう結果になった。
だから、もうあいつのことはなんとも思ってないよ。
幸せになって欲しいと思ってる。
結局、俺とは縁が無かったって事だよ。これからは渚のことを第一に考えて、前を向いて進もうと思ってる」