シークレット・ガーデン
「司、再婚しないの?」
真彩は前から訊いてみたかったことを口にしてみた。
今まで、司とのメールのやりとりの中で、彼に付き合っている女性の影はなかった。
司ほどの男だ。いるかもしれない。
彼女がいる、と文字で決定的証拠みたいに知ってしまったら、もうメールを続けられない気がして、あえて今まで訊かなかった。
司はフッ…と笑って、視線を天井に向け、首を傾げた。
そんなこと訊くの?という風に。
「あ〜…難しいね。
離婚してからちょっと付き合った子いたけどね。別れた。
渚がね。結構、人の好き嫌い激しいとこあるし、前の奥さんの記憶がおぼろげに残ってるみたいなんだ…
まあ、いつかはね。縁があればするんじゃね?」
今、結婚を考えているような恋人はいない、と司本人から聞き、真彩は一安心する。
それでなければ、深夜、彼の家で彼のTシャツを着てこうして、布団の上で向かい合って話し込むことなど許されない。
…ただの友達といえど。