シークレット・ガーデン


「…まあね…
コトの発端は私なんだし……
確かに私、根に持つタイプじゃないけどね〜

本当、脳天気だって皆に思われてるみたいなのよね……人として深みが足りないってことなのかなあ…」


真彩はくるりと瞳を回し、唇を尖らす。

以前、優美子に『不倫は似合わない』とメールで言われたことを思い出していた。


「俺なんか沖縄出身のB型ってだけで、めちゃくちゃテキトーなやつだと思われてるよ」


司は、たまんないね、という風に上目遣いにククッと笑う。


その笑顔に真彩は、思わず魅入ってしまう。



ーーー司は若い時より、今の方が断然、魅力的だ……




真彩は既婚の男性を好きになったこともないし、付き合ったことなどないから、不倫の経験はない。



ーーー司は私のことを全然変わらないというけれど、それは違う。



あの頃から月日は経った。


ーーー司が知ったら、軽蔑されてしまうだろうか…


想像の中でなら、不道徳な恋に溺れてみたかった。


目の前にいる、凛々しい眉と目を持つ男と。


昔みたいに、司の身体に跨り、熱い皮膚に触れたかった。

胸に耳を当て、心臓の鼓動を直に確かめてみたかった。


今夜一晩だけ、許されるものなら………







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