シークレット・ガーデン
温もりを感じて……
でも、こんな状況で自分から仕掛ける勇気なんか絶対になかった。
……おそらく、司のほうも。
子供達が安らかな寝息を立てるこの家では…
2人の間に静寂が訪れた。
もう時刻は12時を過ぎていた。
「真彩」
司が少し緊張したような声で呼びかけ、真彩の目を真っ直ぐ見る。
真彩も無言のまま、司の目を見つめ返す。
何か、重大な決意を言い出す予感がした。
ーーー司の唇が躊躇っている……
真彩は直感する。
「……来週、俺、渚連れて宮古島に戻ることにした」
「えっ…」
真彩は絶句した。しばらく司と見つめ合う形になる。
「なぜ?そんなに急に…仕事はどうするの?」
予想外の司の言葉は、真彩の心に徐々に深く突き刺さっていく。
寂しさが込み上げ、ふいに目頭が熱くなる。
もう、逢えなくなってしまうの?という問いを真彩は、胸に仕舞い込んだ。