シークレット・ガーデン






だが、それは司ではない、とすぐに分かった。




それは、もっと小さく柔らかく、猫のような滑らかな物ーーー





渚の身体だった。




「……渚ちゃん…どうしたの?」



肩越しに真彩は渚に尋ねた。


渚は問いには答えず、真彩の背中から細い腕を回して、真彩の身体をギュッと抱き締めた。




「……ママ……」



呟くように言った。




「ママ…あったかい…大好き……」



渚は甘え、自分の顔を真彩の背中を擦り付けた。


真彩の胸に、慟哭のような感情がグッと込み上げ、喉から嗚咽が漏れそうになる。



唇が震え、涙が溢れ出る。


自分の身体に回された渚の腕を振りほどき、身体を渚の方に向けた。


渚は半分寝ぼけていて、目を閉じたまま、真彩の顔を見なかった。




「‥……渚…」



たまらなくなって真彩は、きつく渚を抱き締めた。



「ママも渚が大好きだよ…いい子ね…」



涙で濡れた頬を、渚の柔らかい黒髪の頭に思い切り擦り付けた。








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