シークレット・ガーデン


「ごめんね、真彩!待った?」


黒服のウェイターに案内されて、真彩のいる席に腰を下ろした優美子は、わずかに息を切らせていた。


「ううん。私が早過ぎちゃったの。
たまにはお一人様気分を味わいたくって。ごめんね。先に頂いちゃってる」


真彩はにこやかにいって、目の前にあるコーヒーを指差した。


「ふふふ。光俊君、相変わらず真彩にべったりなんだね〜
あなた達の方が新婚みたいよね…あ、すみませーん!」


メニュウを広げることもなく、優美子は近くにいたウェイターを呼びコーヒーをオーダーした。



優美子と逢うのは5ヶ月ぶりだった。


その前は去年の11月の上旬にあった優美子の結婚式だった。


真彩は札幌から、単身、日帰りで上京し、挙式と披露宴に列席した。



「そんな甘々な感じじゃないって。
子供みたいなもんよ。
本当、時々うんざりする…
今朝だって、光俊、俺も優美子さんの顔見たいな、とか言って一緒に行きたいオーラ出しまくり。
必死で無視したよ……」


真彩は溜め息を吐いた。





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