シークレット・ガーデン
「こんにちは。綺麗でしょう?」
パイナップル柄のアロハシャツ姿の禿頭の男性が人懐こく、真彩と優美子に話しかけてきた。
人の良さそうなその男性は、首から下げたネームプレートで関係者と分かる。
平日の昼、訪問客は少なく、おじさんは退屈しているらしかった。
「ええ。素晴らしいですね!まるで夢の中にいるみたい」
真彩は笑顔で答えた。
「僕は、宮古島から来たんです。
今年、初めてこの催しに参加させてもらったんです」
宮古島、という地名に真彩は身体の向きを変えた。
いかにも南国生まれといった目鼻立ちおじさんは、独特の訛りでニコニコと話を続ける。
「島ではパイナップルとかマンゴーとか作ってまして。
それをお客さんが獲ってお土産にするんです。
あとは、さとうきびですね。
蘭は私の趣味で、昔からやってたんですが、品種改良に成功したんです。
そしたら、本土から帰ってきた跡継ぎが、コンクールに出せって言うわけですよ。
名前も付けてくれて。
そしたら、見事、スポンサー賞頂きました」