シークレット・ガーデン
「……私ね、中学2年の時、水泳の授業で、制服のまま、クラスの男子にプールに落とされたことがあるの……
ふざけててね。
もう、全身びしょ濡れ!風邪気味だったから、見学してたのに。
水の中でスカートはめくり上がるし、パンツまで濡れちゃったからもう大ショックで、半べそ状態。
結局、学校早退しちゃった〜
私を突き飛ばした男の子は山本くんていうんだけど、真っ青になってたな〜
わざわざ夜、『イッチ、ごめんな』ってうちに謝りの電話してきた。
あ、[イッチ]は私のあだ名。
旧姓は伊藤だから。
伊藤真彩!
あああ、懐かしいなあ〜」
車の助手席で、真彩は、はしゃぎながら昔の思い出話を披露した。
この話は光俊にもしたことがなかった。
さっきから、くすくす笑いが止まらなくて、笑い上戸になっていた。
「もお〜海で無様にコケて、ずぶ濡れになっちゃうなんて…コントみたい、
もう笑うしかないよね〜!」
「イッチか…それよか、寒くねえ?
いや…本っ当…!ゴメン!」
ハンドルを握りながら、司が赦しを乞う目をする。
もう何回謝ったのだろう。
車の信号が赤になるたびに、司は詫びた。