シークレット・ガーデン


右手をヒラヒラと振る真彩を置いて、優美子は復縁した彼氏と抱擁をする為に、帰ってしまった。


…その後優美子とその男は、すぐに別れてしまったけれど。


5月下旬の湘南。


久しぶりに海風を受けて気持ちが良かった。


潮の匂いの中に、ほのかに少し早い夏の気配を感じる。


高校生の頃は、夏になると海に行きたくてうずうずしたものだ。


社会人になってからは、忙しいのと、日焼けしたくないのとで海水浴から遠ざかっていた。



たまにはこんな風に、一人で海を見るのもいい……


真彩は潮風の匂いを吸い込む。



そして、これが司と出逢うきっかけとなった。



ーーあのさあ、一人?


日傘をさし、海を見ながら、砂浜を歩いていた真彩に声を掛けてきたのが、チェックのコットンシャツにGパン姿の司だった。


友人三人と海に遊びに来ていた司は、友人にけしかけられ、生まれて初めてナンパをしたのが、真彩だったと言う。


…初めて、というのは、あの時の躊躇しない司の言葉の掛け方からして、少し疑問だったけれど。


初対面、真彩は司がすごく背が高いことにびっくりした。





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