シークレット・ガーデン


司と交際し始めて、4ヶ月経った頃。


出だしの頃こそ、デート代はワリカンだったけれど、何時の間にか、年上で社会人の真彩が持つことが多くなっていた。

出世払いしてくれればいいよ、と司に言って。


自然に真彩ペースのデートになる。

たまには、主導権を握りたかったのかもしれない。


学業の合間に、ホテルの宴会場で給仕のバイトをしていた司はその給料を貯め、レンタカー屋からセダンを借りて真彩を横浜八景島に誘った。


司がお金を出してくれて、水族館に入り、賢くて愛らしいイルカのショーを楽しんだ。

真彩に食事をご馳走してくれて、土産屋で記念だと言って、紅いハイビスカスの花を付けた大きな白イルカの縫いぐるみも買ってくれた。


高校生カップルじゃあるまいし、真彩はそんなもの持ち歩くのは恥ずかしかったけれど、司の好意を無下に出来ず、うわあ、ありがとう!と喜んでみせた。


男三兄弟の末っ子で、大学生になっても男友達とばかりつるんでいる司は、女の子はそういうものが好きだと思い込んでいる節があった。



ーー夜さ……逗子のあたりドライブしてからラブホ行こうよ?



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