イケメンルーキーに恋をした
半ば無理矢理彼の腕を引いて、体育館へ続く渡り廊下を歩く。
ベタッベタッと、全く行く気のない場所に向かわされている彼の足音が重たい。
それでもあたしは、時々後ろの彼を気にしながら振り返り微笑んでグイグイ引っ張る。
渡り廊下に屋根がきちんと付いているのに、風に流された雨があたし達の肌を少し濡らした。
キュッキュッとシューズの音が響く体育館。
バスケ部、バレー部、体操部などが決められた狭い範囲で部活に励んでいる。
体操部のストレッチの高い声に、バスケ部とバレー部のボールが床に弾む音が重なり賑やかだ。
あたしは田尾くんと体育館の横のドアの前に立ち、中を覗き込んだ。
「部活風景見たことある? いつもこんなに狭い空間で練習してるんだけどさ」
「…………」
「あ!! でも、日によってはバスケ部だけ体育館が使える日もあるから、その時だけ試合形式で部活をしてるの」